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【能登人を訪ねて】#111 地震で畑が割れても、能登島の赤土でサツマイモを育てる移住者夫婦
ここからは「能登人を訪ねて」。今回は、能登島の土にほれ込んでサツマイモを作っている移住者の農家夫婦を訪ねました。地震で農地や自宅に大きな被害を受けながらも、「能登人であり続けたい」と修復につとめ、美味しいサツマイモを育て続ける2人の思いに迫ります。
今回訪ねたのは、農家の下野さんご夫妻。輪島市在住のお二人は、七尾市能登島でサツマイモを育てています。今シーズンは約12トンの収穫を見込んでいます。
私が訪ねたのは収穫の最盛期。輪島市から能登島まで1時間半かけて通っています。どうしてこの土地にこだわっているのか。その理由を伺いました。
稲垣アナ:「この品種は何ですか?」
下野昭治さん:「これはシルクスイートです」
稲垣アナ:「どんな特徴があるんですか?」
下野沙綾香さん:「滑らかな食感ですね。シルク、絹のように滑らかで、上品な甘さって言われています」
稲垣アナ:「イメージで言うと、私たち県民は(サツマイモは)コボコボコっていうイメージがあるんですけど、そうではなく」
沙綾香さん:「そうですね、焼き芋にするとしっとりねっとり柔らかいお芋です」
稲垣アナ:「あとこれだけ良い感じにお芋さんがなるのは、ここの能登島の土もあるんじゃないですか?」
沙綾香さん:「そうですね、この土のおかげだと思います。赤土って粘土質って言われてて、雨が降るとすごくドロドロになって作業もしにくいんですけれども、その分、水分とか養分がとどまりやすいって言われていて…。なので、土の中で長く育つ作物にとってはすごく向いているというので、美味しい作物ができていると言われてます」
二人は元々、移住者同士。2014年、大阪に住んでいた昭治さんは、父の介護を機に、両親と共に輪島市に移住してきました。沙綾香さんは2016年に、生まれ育った北海道札幌市から、レストラン開業の仕事で輪島市に来ました。農家と取引先というきっかけで知り合い、移住者同士の二人はすぐに打ち解け、2018年に結婚しました。二人の作るサツマイモは、とても甘いと評判になります。
しかし、2024年の地震で被害を受けてしまいました。
昭治さん:「まず、もう畑が割れていた」
沙綾香さん:「ただ、サツマイモの苗を注文するのが3月なんです。水が出なくて、畑ができるのかという状況ではあったんですけど、(夫は)『やるぞ』と決めて、注文してしまったんです、苗を…」
昭治さん:「サツマイモだけは、どうしてもやろうと。他の作物はちょっと水がないと不安があるんで、『これだけは何とか頑張ろう』というような…」
地震が発生してまもなく、彩香さんは実家の札幌市に避難していました。昭治さんは『畑をなくしてしまうと、自分たちは能登から去ることにならないか』、そんな思いが頭をよぎったと言います。妻に相談せず、畑の維持を決めました。
昭治さん:「やれることをやりながら、この畑も止めないっていうような、そんな感じですかね。精一杯やっていこうと思いました」
サツマイモの栽培継続は、これからも能登に住み続ける決意でもありました。
現在住んでいる輪島市門前町の仮設住宅にお邪魔しました。
昭治さん:「(父は)移住して1年で亡くなってしまいましたから…」
稲垣アナ:「その時に大阪に戻るという選択肢はなかった?」
昭治さん:「なかったですね」
稲垣アナ:「お母さん、今こうお暮らしになられて、随分長くなりましたけれど、今こちらの土地についてどのように思っていらっしゃいますか?」
昭治さんの母・加代子さん:「今はもう良いとこやなと思ってます…ちょっと不便やけどね」
稲垣アナ:「奥様がいらっしゃるってことについては、お母様どうですか?」
加代子さん:「これ以上のことはない、幸せや」
沙綾香さん:「孫もいるしね」
加代子さん:「うん、孫もいてるし」
沙綾香さん:「上の子が0歳の時に初めて出店し始めたんです、私たち。イベントに出店したりしてたんですけど、その時もおばあちゃんがずっと面倒見てくれて…。ベビーカーに乗せてミルクあげたりとか。もう家族一丸で乗り越えできたね」
仮設暮らしが続く下野さん一家ですが、ようやく家の修復工事が始まりました。
稲垣アナ:「こちらが今修復されているというお家なんですね」
昭治さん:「6年前にここを借りて住み始めたところですね、ここは」
沙綾香さん:「周りを見ていると、どんどん更地になっていくところもあれば、すぐにまた再建…新しくお家が建っていく風景を見て、何だかすごくもどかしい思いはたくさんあって」
昭治さん:「今度はもう、今ワクワクしてるんですね。こうやって子育てしていこう。こうやって仕事していこう。いろんなことが浮かんで、今は前向きにいろんなことを頑張ろうと思ってます」
沙綾香さん:「直接ここに(商品を)買いに来てくださる方にとって、ちょっと『憩いの場』になるとか『交流の場』になるというスペースになったらいいなって」
稲垣アナ:「ここら辺にですか?」
沙綾香さん:「そうです。この辺りにスペースができたらいいなっていうのは…まだ先の話ですけど、ちょっと段階を経て夢見ています」
稲垣アナ:「いいですね」
二人が育てたサツマイモや、サツマイモを使ったお菓子は大人気です。この日は今シーズン初めての納品がありました。
二人:「おはようございます」
コミセン門前BASE 山口晴美店長:「種類は…」
沙綾香さん:「紅はるかと、シルクスイートだけ入ってます」
山口店長:「もうすごい人気がありまして、皆さん食べたら美味しいってのはもちろんわかるので、並べた瞬間にすぐなくなっちゃう」
稲垣アナ:「じゃ今日はこれは待望の」
山口店長:「待望、待ちに待ったお芋です」
お菓子などは、のと里山海道の別所岳サービスエリアの売店などでも販売されていて、知る人ぞ知る名物になっているそうです。
そんな評判のサツマイモを、焼き芋で頂くことになりました。
稲垣アナ:「香りがすごい!」
沙綾香さん:「収穫して3週間以上寝かせた紅はるかです。紅はるかの焼き芋です」
稲垣アナ:「スイーツみたい、これ。頂きます…美味しい!歯ごたえを味わうというより、舌の上に置いてずっとその感触を味わってたいという」
沙綾香さん:「嬉しいです」
稲垣アナ:「美味しいです、甘さが抜群。何の味付けもしてないんでしょ?」
昭治さん:「そうですね。そのままです」
稲垣アナ:「この能登の土地にこだわったお芋さんですか?」
沙綾香さん:「そうですね」
稲垣アナ:「この能登の土地で育てられたおいしいおいしいサツマイモを使って、これから夢を膨らませていくと思うんですが、今後どういう風な形で進んでいきたいですか?」
昭治さん:「頑張ってサツマイモいっぱい作って、皆さんにお土産として色々届けられたらなと思います」
沙綾香さん:「そのお菓子やサツマイモを通じて、いろんな人との出会いがあって、またそのご縁がどんどん繋がっていけばいいなっていう風に考えてます。夢はまたこれからまた無限大いうこということで…」
稲垣アナ:「僕もその夢、応援させていただきますので、これからも皆さん、宜しくお願いします!」