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「犬50匹を手放す」震度7・宇城市の現実―報道が届かない被災地の叫び

熊本地震の発生から3週間がたちました。
熊本県で実際に取材を行った山川記者とお伝えします。

アナウンサー
「山川記者は能登半島地震の取材も経験してきたわけですが
改めて今回の地震はどう映りましたか?」

記者「私が熊本県に入ったのは発生13日目の今月9日だったのですがまず感じたのは避難所の状況です。私は震度7を観測した宇城市で避難所の取材をしました。その避難所は段ボールベッドおよそ100台に加えエアコンも10台設置された設備の整った環境でした。しかし、避難所が開設されたのは地震発生から17日目の8月13日。それまでの間は別の場所で2週間以上床で雑魚寝をして過ごしていた方もいました。能登半島地震のときも、トイレが不衛生であったり密集した環境で雑魚寝での生活を余儀なくされたりなど地震発生直後の避難所の環境が課題となっていましたがその反省が生かされているとは言えず避難所の普段の備えなどを見直す必要があるのではないかと感じました。
もう一つ、被災された方々を苦しめていたのは暑さです。私が熊本にいた1週間は最高気温が35度前後の日が続きました。電気は使えるものの水が使えない地域が多く「風呂に入れないのが辛い」という声が一番多く聞かれました。」

アナウンサー「こうした状況の中でどういった取材をしたのでしょうか。」
記者「私は震度7を記録した宇城市で大きな決断に迫られたブリーダーの女性を取材しました。」

元気に走り回る豆柴。しかし、足元の地面は大きく割れてしまっています。
震度7を観測した宇城市にある豆柴専門の飼育施設。
現在は、およそ50匹を飼育しています。
ブリーダーの藤本栄子さん。
この場所でおよそ10年にわたって犬の飼育に携わってきました。
藤本さん「(被害に)気付いたのは2日くらいしてからかな。「あぁ、こんなひどかったんだ」って思いましたね。ちょっと呆然としましたね」
断水が続いていたため藤本さんは犬舎を掃除するための水を毎日、施設とは離れた場所まで汲みにいっていました。
藤本さん「(水を)運ぶのも大変なんですよね。最初はなんとか乗り切ろうと思ったけどちょっと疲れてきました。続けたい気持ちはあるんですけど私たちも年が年だし体力ももう限界だなと思って…」
犬の将来を考えた時、藤本さんは健全な環境を保つのは難しいと考え飼育している犬を全て手放すことを決めました。生後間もない子犬の引き取りをSNSで募集したところ応募が何件もあったといいます。
子犬を引き取った人は
「私がインスタで(募集を)見つけてちょうど犬を迎えようかなって探している時だったので」「地震で(藤本さんが)大変なのでお手伝い(の気持ち)」
8月中には、全ての犬が施設を去ることに…。
藤本さん
「Q今の気持ちは?うれしいですね。あの子が幸せになりそう。あんなに大事にされて可愛がられてうれしいです」
一方で、自身のこれからについては…。
藤本さん「色々考えても難しいことがいっぱいあって。廃業するんでしょうかね…。ちょっとはっきりわからないけど廃業の方向には行くでしょうね」

記者「今回取材を受けてくれた藤本さんは最後に「もっと自分たちの町を取材してほしい」と話してくれました。これまでの報道では避難者や全壊した建物が最も多かった八代市や爆発事故のあったイオンモール熊本などがニュースで取り上げられる頻度が高い印象でしたが藤本さんの施設がある宇城市豊野町でも震度7を観測し、あちこちで地割れや建物の倒壊などを目にしました。しかし藤本さんは、「自分たちの状況がメディアに取り上げられることは少なく被災したことが知られていないのではないか」と不安を語りました。同じ被災した地域であっても注目の度合いに偏りがあり報道されていない被災者や地域があるという現状が浮かび上がりました。
私は今回の取材を通して報道の目が届きにくい場所にこそスポットライトを当てられるような取材を続けていかなければならないと感じました。

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