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「人との出会いの奇跡」先月亡くなった父へ墨で届ける思い 能登町の抒情書家・室谷文音さん
石川県能登町に暮らし、国の内外で活躍する抒情書家、室谷文音さんの作品展が金沢市で行われています。8月に亡くなった父へ作品を通して思いを届けます。
香林坊大和6階で9月23日に始まった「心に残る墨色展」。能登町在住の抒情書家・室谷文音さんが書いた作品28点が飾られています。
「抒情書」とは、心に浮かんだ思いをつるべで汲み上げるように紙に綴ったもの。
今回の作品展では、秋らしく「紅葉」をテーマにした作品が多く並ぶ予定でしたが、8月28日に父・一柊さんが82歳で死去しました。
室谷文音さん:
「父が亡くなったことによって、自分の中で『違うな』と感じ始めて…本当に(展覧会まで)時間がないと分かっていたんですけど、どうしても新しいものが書きたい今の気持ちを表現したい、作品に残したいと思ったんですね。」
室谷さんは父の死後、わずか2週間で16点の作品を書き上げました。その作品の一つについて、室谷さんは、「これは、今回父が亡くなった後初めて書いた作品なんですけど、『時間の流れ』というのをとても感じまして、大きな流れの中で自分と父親が今回親子として出会った『人との出会いの奇跡』をとても感じて、それを墨で表現しました。」と話します。
能登半島地震後の2024年、室谷さんの父で抒情書家の一柊さんは、「『地震』を逆に『自信』にして人との関係をタイアップして、お互いに潰れんようにしていこうやないのと思いますね。」と話していました。
一柊さんは、2006年能登町に移住。妻で同じく書家の朱琴さんと共に能登の自然に抱かれながら多くの作品を表してきました。2024年の地震後体調を崩すことも多かった中、2025年、家族で行った「三人展」が最後の作品展となりました。
室谷文音さん:
「もう少し一緒に過ごしたかったけど、父は今ごろ楽になって(天国で)楽しんでいると思います」「人と人とが出会うというのは嬉しいことですよね。でも永遠ではないということも分かったので、地震などを経て『いつかというより今を大事にしよう』とすごく意識してきたんですけど、さらにそう感じるようになりました。」
今回の作品展では、亡き父への思いを始め、言葉では表せない様々な感情を墨のにじみで表現しています。
室谷文音さん:
「墨色って人の心を癒す効果があるとも言われているので、そういう意味でも皆さんの心が優しくなってかえってもらえたら嬉しいなと思います。」
この作品展は9月29日まで行われています。